自閉症の息子が絵を描くようになったきっかけ

幼少期の彼は、言葉を理解しなかったので、言葉でのコミュニケーションはできませんでした。

 

彼は、時々自分の手をオーケストラの指揮者のように高く上げ、人差し指をクルクルと動かして、空中に何かしら描くことをしていました。

 

息子が空中でクルクル指を動かす動作のことを、空中文字って呼んでたのですが、私は、息子が何を描いているのか知りたくて、彼が空中文字を描いているときに、紙とペンを持たせたんです。

 

すると、彼が描いていたのは文字ではなく、何かしら絵らしきものでした。

 

絵といっても何か形らしいものを描いていただけなのですが、息子は聴覚よりも視覚が強かったので、絵が彼とのコミュニケーションの手段に使える思い、彼と話すときは紙と鉛筆で言葉に絵を添えるようにしていきました。

 

彼が5、6才の頃のことです。

 

彼自身は、なぐり書きしかできず、絵を書くのはもっぱら私の方だったんですけどね。

 

その後、息子が7才のときに出会った自閉症療育を主として母親教育を軸にしたトモニ療育センターの河島先生に、息子に自由画を描かせることを勧められ、彼に絵を描かせるようになったことが、彼が絵の世界に入って行くきっかけとなり、彼は絵と共に成長しました。

 

養護学校高等部1年生 美術部に入部し初めて絵画としての絵を描き始める

 

養護学校高等部で、彼の感性を引き出して彼の絵を急加速で成長させてくださった先生との出会いがあり、それまでの彼の絵とは違う絵を制作するようになりました。

 

息子が美術部で始めて描いた「風」は、その年の県内高校生の作品200点ほど出品されていたデザイングランプリで、優秀賞をいただきました。

 

絵の技法的なところは、荒削りなのですが、彼の絵から感じるものがあるんですね。
彼は、決して「上手く描いてやろう」などという打算なく描いていますから・・・

 

絵は自閉症療育の課題というより、ちょっと息抜きの時間として取り入れていましたが、絵を描くことが自閉症の息子の成長に大きく影響していたと思います。

 

私と息子の自閉症療育の取り組み中で、絵と自閉症に焦点を当てて綴ってみたいと思います。